はじめに
🇯🇵安倍元首相
— Yuto Haga 芳賀勇人 (@Yuto_gahagaha) 2022年7月8日
*散弾銃で左胸を撃たれた模様
JAPAN EX-PM ABE APPEARS TO HAVE BEEN SHOT WITH SHOTGUN: NHK https://t.co/tTjMw8jvrG
昨日、安倍首相が銃撃されるという悲しい事件がありました。
銃弾が貫通したのかはわかりませんが、散弾銃で胸部を撃たれて心臓を複数発貫いている時点で厳しい状況だったのだと思います。
本来であれば狭いドクターヘリ内では限られた処置しかできず、心肺停止状態でのドクターヘリは適応とならないことがほとんどです。
そのために本来は現場で状態を安定させた上でヘリ搬送というのが妥当です。
本件は、報道陣等の目があって現場で開胸等の激しい処置ができなかった可能性があったのかもしれません。
個人的にはどうしていたのだろうか
実際に現場や患者自身を見ていないので、あくまで推測の話になりますが。
心臓や肺を複数発貫いていた時点で、救命はかなり厳しいように思います。
VA-ECMOを立てて、臓器灌流を維持しつつ心臓や肺の修復を行い、頸部(どの程度損傷していたのかわかりませんが)は圧迫等でとりあえず止血しておくという形になるのかなって思ってはいます。
ただ、VA-ECMO自体、挿入するカテーテル自体がヘパリンコーティングされていたり、ある程度の時間ECMOで循環維持するとなると抗凝固薬が必要となる処置であり、救命は極めて難しい状況だったと思います。
対応した医療機関にクレームが入っているという話を聞いて思うこと
実際の状況を見ていない僕が判断できることではないですが、胸や肺を散弾銃で撃たれた時点で救命は非常に厳しい状況だったと思います。
医療で救命できる範囲は限られています。医療は神様ではありません。
どうかどうかと祈っても助けられない命がたくさんあるのが救命の現場です。
それでも何とか助けられるように最善の手を探して日々医療に当たっている救急医を責めないであげてほしいと思います。
実際に救急の場でどういう対応が行われたのかはわかりませんが、頭側では経口気管挿管・人工呼吸管理が行われ、頸静脈や鎖骨下静脈から輸血・輸液用の太い点滴が挿入され、胸は開胸されて止血処置が行われ、鼠径からECMOなどの別の太いカテーテルが挿入されて…
外傷の心肺停止の現場はそれはもう壮絶な現場です。
輸血をすれども止血されていないところから出血して、救急外来はきっと血まみれで、現場で対応に当たっていた人も血まみれになりながら救命を模索していたのだと思います。
低体温は凝固障害等を悪化させるため、ERは30℃近い温度設定の中でたくさんの汗をかきながらの対応だったと思います。
批判の声を挙げる皆さんへ
上述したような壮絶な現場、トラウマになって医療職を離れる人がいるような現場をみても尚、批判の声を挙げるというのであれば、批判の声を挙げるのではなく今回のような状況でも救命ができるような止血デバイスの開発や献血等に是非ご協力をお願いします。
安倍首相へ
ご冥福をお祈り申し上げます。
あなたがしてくださったこと、日本を変えようという気持ちはきっと僕を含めて色んな人に引き継がれていくことと思います。