$AMDについての銘柄分析です。
昨日の$NVDAに続いて半導体銘柄ですね。
AMDは半導体の中のCPU/GPUを開発するファブレス企業(開発を行って、実際の製造は他社に依頼する企業)です。
☆CPU市場
CPU領域については、$INTC, $AMDが主に関わっています。
最近にかけて$INTCから徐々にmarket shareを奪ってきている状況です。
CPUについては、PC領域で主に用いられるx86/x64、タブレットやスマホで用いられるArm($NVDAが買収を進めている企業ですね)があります。
CPU市場の今後の展望(CAGRなど)は見つけられませんでした...
☆GPU市場について☆
GPU領域に関しては、$NVDA, $AMD, $INTCが関与しています。
"AIB GPU"=アドインボード=デスクトップグラフィックスカード
"dGPU" = ディスクリートGPU = 統合されていないディスクリートのモバイルおよびデスクトップソリューションを含む
"all PC GPUs" = すべての統合型ソリューション(AMDやIntelのPCプロセッサに内蔵されたiGPU)を含む
デスクトップPCのグラフィックスカード領域、dGPU領域(CPUとは独立してグラフィックボードに内蔵されているGPU/CPU内蔵のGPUよりも性能が高い)では$NVDAにmarket shareを奪われているものの、市場自体が拡大しており、売上高は伸びてきています。
また、今後GPU市場は31.1%のCAGRで成長すると報告されています。
☆Investor Presentation☆
Investor Presentationから$AMDについて見ていきます。
→High performance computingということで、クラウドや5G、AIなど個人的にはとても心躍るような分野での活躍を目指しています。
→$AMDが関与する市場のTAMは$79Bになります。
→AMDの主力商品は上のスライドの通りです。
RYZENが一般的なPC向けのCPU、EPYCがサーバー向けのCPUで、RADEONがGPUになります。
SEMI-CUSTOMは、AMDの持つCPU/GPU技術を駆使してそれぞれの顧客にオーダーメイドのCPUやSoCを作成する部門で、プレイステーションやXboxなどに用いられています。
→$AMDのクライアント向けのCPUラインナップです。
→クライアント向けのCPUは、ZEN/ZEN2/ZEN3とグレードアップされています。
ZENシリーズの違い、半導体の性能評価に関わる指標(トランジスタ/動作周波数/プロセスルールについての説明)については以下に引用します。
ちなみに、ZEN4では5nmのプロセスルールになるようです。
→GPUのラインアップです。
→RDNA3についてはまだ詳細があまりわかっていないようです。
→データセンターにもフォーカスしており、サーバー用のCPUであるEPYC、GPUがINSTINCTです。
→データセンター事業は多様な企業と関連しています。
→CPUにおいてZEN4では5nmのプロセスルールが採用予定です。
→GPUにおいて、次はCDNA2になるようです。
☆$AMDの最新決算と構成☆
だいたいの商品を見たところで、決算に移ります。
①Computing and Graphics
・クライアント用のPC向けのCPU、GPU(クライアント向け+データセンター用)の売り上げで構成される部門です。
-----以下、2021 Q1のPresentation slidesよりDeepLで翻訳-----
▪ 売上高は21億ドル
- 主に、Ryzen™プロセッサおよびRadeon™グラフィックス製品の売上増加により、前年同期比46%増、前四半期比7%増
- モバイル・プロセッサの売上高は6四半期連続で過去最高を記録
▪ 平均販売価格(ASP)について
- クライアント・プロセッサの平均販売価格は、Ryzenデスクトップおよびノートブック・プロセッサの売上がより豊富になったことにより、前年同期比および前四半期比ともに上昇
- GPUの平均販売価格は、ハイエンドのRadeonグラフィックス製品が牽引し、前年同期比および前四半期比ともに上昇
営業利益は4億8,500万ドル
- 前年同期の営業利益2億6,200万ドル、前四半期の営業利益4億2,000万ドルに対し
- 営業利益の改善は、主に、前年同期比および前四半期比での増収によるものです。
▪ 戦略的ニュースとハイライト
- フォーチュン500社の航空宇宙、自動車、電子機器、エンジニアリング企業において、複数の大量受注を獲得
- お客様は、AMD Ryzen 5000シリーズ・モバイル・プロセッサーおよびAMD Ryzen PRO 5000シリーズ・モバイル・プロセッサーを搭載したノートブックの数を順調に増やしています。
AMD Ryzen PRO 5000シリーズ・モバイル・プロセッサーを搭載したノートブックの数は、大手OEM企業が新しいシステムを発表したことにより、増加傾向にあります。
- Radeon RX 6700 XT GPUを発表、1440pの卓越したPCゲーム体験を提供、AMD
RDNA 2ゲーミング・アーキテクチャーと最先端の7nmプロセス・テクノロジーを採用。
-----以下、Earning callよりDeepLで翻訳-----
次に、コンピューティング&グラフィックス分野についてご説明します。第1四半期の売上高は、RyzenおよびRadeonプロセッサの両方の売上が増加したことにより、前年同期比46%増の21億ドルとなりました。クライアント・コンピューティング分野では、クライアント・プロセッサの売上高およびASPの記録を更新したことにより、売上高は前年同期比で2桁の大幅な伸びを示し、前四半期比でも増加しました。PC全体の需要が堅調であることを背景に、当社の収益は、特に超薄型、ゲーム、商用分野において、市場を大幅に上回るペースで成長しています。
その結果、当四半期はクライアント・プロセッサの売上シェアを拡大することができたと考えています。当社の収益シェアは、プレミアム製品での拡大に伴い、過去2年間で倍増しています。ノートPCでは、Ryzen 4000シリーズプロセッサに対する持続的な需要と新しいRyzen 5000シリーズプロセッサの発売に基づき、6四半期連続で過去最高のモバイル・プロセッサの売上を達成しました。Ryzen Mobile 5000シリーズプロセッサの売上は、前世代の2倍の速さで増加しています。
2021年には、新しいプロセッサーを搭載したノートブックプラットフォームの数が前世代に比べて50%増加する見込みであり、継続的な成長を期待しています。また、Ryzen PROプロセッサの出荷台数は前四半期比で2桁の大幅な伸びを示し、商用市場においても順調に推移しています。
当四半期には、フォーチュン500社に選ばれている航空宇宙、自動車、エレクトロニクス、エンジニアリング関連企業から複数の大量受注を獲得しました。また、今年に入ってからは、最大手のOEM企業から獲得した商業用ノートブックのデザインを3倍に増やしており、さらなる成長に向けた態勢を整えています。
グラフィックス分野では、ハイエンドのRadeon 6000 GPUの売上が前四半期比で2倍以上に増加し、チャネル販売の成長に牽引されて、売上は前年同期比および前四半期比ともに2桁台の大幅な増加となりました。3月には、1440pのゲームにおいてリーダーシップを発揮するRadeon 6700 XTデスクトップCPUを発表し、今四半期末には、最先端のモバイルRDNA 2アーキテクチャを採用した最初のノートブックを発売する予定です。Radeon 6000シリーズGPUの売上は、生産の拡大に伴い、今後数四半期にわたって大幅に増加する見込みです。
データセンター向けグラフィックス製品の売上は、クラウドやHPCのお客様によるInstinctアクセラレータの採用が主な要因となり、前年同期比および前四半期比で増加しました。データセンター用GPUのロードマップは順調に進んでおり、米国初のエクサスケール・スーパーコンピューターであるFrontierをはじめとする複数のHPC案件をサポートするために、次世代AMD Instinct GPUの生産を開始することで、下半期に収益が拡大すると予想しています。
Frontierは、次世代AMD CPU、GPU、ソフトウェアを使用して、これまでにない科学的コンピューティングとAIの能力を実現し、科学、クラウド、企業の顧客が今後数年間でエクサスケールクラスのコンピューティングとAIのパフォーマンスを実現するための青写真を作成します。
②Enterprise, Embedded and Semi-Custom
・サーバー向けCPUであるEPYC、SEMI-CUSTOMが含まれる部門です。
-----以下、2021 Q1のPresentation slidesよりDeepLで翻訳-----
▪ 収益は13億5,000万ドル
- 主にセミカスタム製品の売上およびEPYCプロセッサの売上の増加により、前年同期比286%増
- 前四半期比5%増 主に、セミカスタム製品の売上減少により相殺されたEPYCプロセッサの売上増加による。
営業利益:277百万ドル
- 前年同期は2,600万ドルの営業損失、前四半期は2億4,300万ドルの営業利益であった。
- 営業利益の改善は、主に、前年同期比および前四半期比での増収による。
▪ 戦略的ニュースとハイライト
- AMD EPYC 7003シリーズ・プロセッサーを発表し、AMDのパーソケットおよびパーコア・パフォーマンスにおけるリーダーシップを拡大
- 大手クラウドプロバイダーのMicrosoft Azure、Oracle Cloud、Tencent Cloud、Amazon Web Services、Google Cloudが新製品および発売予定のインスタンスとソリューションを発表
- シスコ、デル、HPE、レノボ、スーパーマイクロが新しいプラットフォームを発表
- HPEとスウェーデン王立工科大学(KTH)は、次世代のAMD EPYCプロセッサとAIを搭載した新しいプリエクサスケール・スーパーコンピュータを発表しました。
次世代のAMD EPYCプロセッサーとAMD Instinct GPU
- AMD EPYC CPUとAMD Instinct GPUは、Siemens NXやPTC Creoなど、拡張されたクラウドベースのHPCソリューションを支えています。
とPTC Creoを含むクラウドベースのHPCソリューションを強化しています。これらはいずれもMicrosoft Azure NVv4インスタンス上で動作します。
-----以下、Earning callよりDeepLで翻訳-----
次に、エンタープライズ・組み込み・セミカスタム分野について説明します。売上高は、セミカスタムおよびEPYCプロセッサの売上がともに堅調に推移したことにより、前年同期比286%増の13億5,000万ドルとなりました。セミカスタム製品の売上は、前四半期比で1桁の減少となりましたが、これは通常の季節性よりも良好です。セミカスタムの売上は、ソニーおよびマイクロソフトの最新世代ゲーム機に対する大きな需要に牽引され、2021年を通して好調を維持すると予想しています。
サーバ分野では、「EPYC」プロセッサの売上が前年同期比で2倍以上に増加し、前四半期比でも2桁台の大幅な伸びを示したことから、当四半期もサーバ・プロセッサの売上は記録的なものとなりました。
これは、第2世代のEPYCプロセッサの採用が進んだことに加え、第3世代のEPYCプロセッサが複数のクラウド企業やエンタープライズ企業で順調に稼働を開始したことによるもので、第2世代、第3世代ともに売上は前四半期比で増加しました。第3世代EPYCプロセッサーは、前世代に比べて1ワットあたりの性能が25%向上しており、データベース、ERP、データ分析、Java、仮想化、クラウド、スーパーコンピューティングなどのワークロードにおいて、ソケットあたりおよびコアあたりのリーダーシップを発揮します。
当四半期のクラウド需要は、ティア1プロバイダーがEPYCプロセッサーの導入を拡大して社内インフラを強化し、新たに11のAMD搭載インスタンスを導入したことにより、特に好調に推移しました。
Microsoft Azure、Amazon、Google、IBM、Oracle、Tencentが第3世代のEPYCプロセッサーを搭載した製品を大幅に拡大していることから、AMD搭載インスタンスの数は年末までに2倍の400になると予想しています。
企業向けには、シスコ、デル、HPエンタープライズ、レノボ、スーパーマイクロの各社が、AMDベースの製品を拡大する計画を発表し、優れたパフォーマンスと総所有コストを実現する第3世代EPYCプロセッサー搭載のサーバープラットフォームを新たに100台以上導入しました。
HPC分野では、国立大気研究センターやスウェーデン科学研究所などの大規模システムを新たに獲得し、勢いを増しています。また、イギリスの国家気象モデリングサービス向けに、オンプレミスとクラウドを組み合わせた独自のソリューションを提供しており、これは世界で最も強力な気象・気候予測スーパーコンピューターとなります。
一歩下がって考えてみると、EPYCプロセッサーの新世代が前世代よりも大幅に速く立ち上がるたびに、ここ数年のデータセンター事業の進展に非常に満足しています。
私たちは、リーダーシップを発揮する複数世代のCPUロードマップを開発し、一貫して提供することで、最大規模のクラウドエンタープライズおよびHPCのお客様にとって、信頼できる戦略的パートナーとしてAMDを確立しました。
2021年は、当社のEPYCおよびInstinctプロセッサーの規模、エコシステムのサポート、顧客の採用という点で、変曲点となります。
第1四半期のデータセンター製品の売上高は、前年同期比で2倍以上に増加し、全体の売上高に占める割合は10%台後半となりました。データセンター製品の売上は、クラウド、エンタープライズ、HPCなどの新規案件を獲得するための強力なパイプラインに牽引され、年内に大きく成長すると見込んでいます。
これは、当社製品が顧客に採用されていること、市場全体が堅調であること、サプライチェーンパートナーからの追加供給があることなどによるものです。
☆その他のニュース☆
→半導体企業の買収報道が続いていますが、$AMDはザイリンクスを買収して自動車やネットワーク分野などの新規市場への切り込みを進めています。主力となるデータセンターへも良い影響が出ることに期待ですね。
☆これまでの決算振り返り☆
→時折決算をミスすることはありましたが、ここのところは取りこぼし無しですね。
☆チャートその他☆
→直近の決算はガイダンス含め問題ありませんでしたが、地合いが悪く下落トレンドです。
→PER(NTM)は37倍程度でやや高めですが、ここ1年では最安値付近です。
🌟まとめ
・$NVDA同様に多くの場面で用いられるであろう半導体銘柄であり、今後も$INTCからmarket shareを奪えるかが注目だと思います。
・$INTCを含め、競合他社の開発状況には注意が必要です。
・$NVDAのArm買収が進むことで、$AMDにどのような影響が出てくるかが懸念です。
・ザイリンクス買収は2021年末くらいまでかかるようです。
・決算上はクライアント向けのCPU/GPU、サーバー向けのCPU/GPUいずれも売り上げが伸びていますが、この後の動向を見守りたいと思います。
・個人的には$NVDAと$AMDで2択を迫られれば、$NVDAかなという気がしますが、決算も良好であり、このまま現在保有分はholdの予定です。